山本由伸投手も投げるチェンジアップの投げ方|一流フォームと練習法

本記事ではチェンジアップの投げ方を、握り方・フォーム・練習法までを解説します。

チェンジアップで打者を打ち取る鍵は、ストレートと同じ腕の振りでボールを抜き、球速差を生むことです。初心者でも段階的な練習で習得でき、実戦でも大きな武器となります。

目次

魔球と名高い山本由伸投手のチェンジアップを徹底分析

日本プロ野球界で沢村賞を2度獲得し、メジャーリーグでもその実力を遺憾なく発揮している山本由伸投手。彼の多彩な球種の中でも、特に打者を苦しめているのが「魔球」とも称されるチェンジアップです。

ストレートと同じ腕の振りから投じられ、打者の手元で鋭く変化するそのボールは、なぜこれほどまでに強力な武器となるのでしょうか。この章では、山本由伸投手のチェンジアップの秘密を徹底的に分析し、その投げ方のヒントを探ります。

なぜ山本由伸投手のチェンジアップは打てないのか

多くの強打者たちが「分かっていても打てない」と口を揃える山本投手のチェンジアップ。その理由は、フォーム・球速差・コントロールという3つの要素が極めて高いレベルで融合している点にあります。

まず、最大の要因はストレートと寸分違わぬピッチングフォームです。腕の振りやリリースポイント、体重移動に至るまで、ストレートを投げる時と全く同じ動きで投球するため、打者はボールが手から離れる瞬間まで球種を判断することが極めて困難になります。ストレートだと思ってバットを振り出した瞬間に、ボールは失速しながら変化するため、タイミングが完全にずらされてしまうのです。

次に、驚異的な球速差が挙げられます。彼のストレートが平均155km/h前後であるのに対し、チェンジアップは130km/h台後半から140km/h前半。約15km/h以上の緩急は、打者の体感速度を狂わせ、バッティングの軸を崩すのに十分すぎるほどの効果を発揮します。ただ遅いだけでなく、打者の手元でブレーキがかかるようなキレも兼ね備えているため、空振りや弱いゴロを量産できるのです。

さらに、高い制球力も特筆すべき点です。アウトコース低めやインコース低めといった打者の打ちにくいコースに的確に投じられるため、決め球としても有効。安定したコントロールがあるからこそ、このボールは絶対的な武器となっています

スプリットに近い軌道と変化の秘密

山本投手のチェンジアップは、一般的なチェンジアップとは異なり、スプリットに近い鋭い落ち方を見せます。その秘密は独特の握り方とリリースにあると考えられています。

通常のチェンジアップよりも指を立て気味にし、人差し指と中指でボールを挟むことで、順回転ではなくスプリットに近い少ない回転を与えています。その結果、空気抵抗を大きく受けたボールが打者の手元でストンと落ちるような変化を見せます。加えて、利き腕方向にわずかに沈むシュート成分も加わるため、打者にとっては一層捉えにくいボールになります。

球種平均球速帯主な変化方向特徴
山本由伸投手のチェンジアップ138〜143km/h縦(+わずかにシュート方向)スプリットのように鋭く落ちる。ストレートとの球速差が大きい。
一般的なチェンジアップ120〜130km/h縦・斜め腕の振りを遅く見せ、タイミングを外すことが主目的。比較的緩やかな変化。
スプリット(SFF)140〜148km/hフォークボールより球速が速く、鋭く落ちる。指への負担が大きいとされる。

このように、山本投手のチェンジアップは、チェンジアップの「緩急」とスプリットの「鋭い落ち」という、両方の長所を兼ね備えたハイブリッドなボールと言えるでしょう。150km/h後半のストレートや鋭く曲がるカーブ、カットボールといった他の球種とのコンビネーションによって、打者は狙い球を絞ることができず、幻惑されてしまうのです。彼のピッチングの根幹を支えるこの魔球は、まさに研究と努力の結晶と言えます。

これがチェンジアップの投げ方の基本 3種類の握り方を紹介

チェンジアップと一言でいっても、その握り方(グリップ)は一種類ではありません。プロ野球選手でも投手ごとに握りが異なり、それぞれ変化の仕方や投げやすさに特徴があります。まずは代表的な3種類の握り方を理解し、自分に最もフィットするものを見つけることが上達への近道です。

ここでは、代表的なサークルチェンジ・バルカンチェンジ・スプリットチェンジの3つの投げ方と、それぞれの握り方のコツを詳しく解説します。

種類握り方の特徴主な変化の軌道難易度
サークルチェンジ親指と人差し指でOKサインのような輪を作る。最もオーソドックスな握り方。緩やかに沈みながら利き腕方向に曲がる(シュート・フェード系)。比較的やさしい
バルカンチェンジ中指と薬指でボールを挟む。バルカンサインに似た形。サークルチェンジより小さく鋭く沈む。シュート成分は少なめ。やや難しい
スプリットチェンジ人差し指と中指を少し開いて挟む。SFF(スプリットフィンガード・ファストボール)に近い。ストレートに近い球速から鋭く縦に落ちる。指への負担が大きく、やや難しい

サークルチェンジの投げ方と握る際のコツ

サークルチェンジは、最もポピュラーなチェンジアップです。親指と人差し指で作る「輪(サークル)」が名前の由来となっており、安定した変化とコントロールのしやすさが特徴です。

親指と人差し指で輪を作る

サークルチェンジの基本は、ボールの側面でOKサインを作ることです。具体的な握りの手順は以下の通りです。

  1. ボールの縫い目にかからない平らな部分を探す
  2. 人差し指を軽く曲げ、親指と合わせて「輪」を作る
  3. 作った輪をボールの側面に当てる(右投げは右側、左投げは左側)
  4. 残りの中指・薬指・小指でボールを支える

重要なのは、親指と人差し指に力を入れすぎないことです。ガイド役と考え、中指や薬指で押し出す感覚を意識しましょう。

また、ボールは指先でつまむのではなく、手のひらで包み込むように「鷲掴み」にするイメージを持つと良いです。これにより回転数が抑えられ、ストレートと同じ腕の振りでも自然に球速が落ち、緩急が生まれます。

ボールを鷲掴みにするイメージ

もう一つの重要なコツは、ボールを指先だけで握るのではなく、手のひら全体で包み込むように、少し深く「鷲掴み」にすることです。

ストレートが指先でボールを切り、強い回転をかけるのに対し、チェンジアップは手のひらとの摩擦を利用して回転数を減らし、球速を落とします。深く握ることで、リリース時にボールが指から抜けやすくなり、自然と球速差と回転差が生まれるのです。最初は違和感があるかもしれませんが、この感覚を掴むことがチェンジアップ習得の鍵となります。

バルカンチェンジの投げ方と指の使い方

バルカンチェンジは、SF映画に登場する「バルカン人の挨拶」に似た指の形が由来のユニークな握り方です。

  1. 人差し指と中指、薬指と小指をそれぞれ寄せる
  2. 中指と薬指の間にボールを挟む
  3. 親指を下から添えて支える

リリースでは、中指と薬指で前に押し出すように投げます。サークルチェンジが「抜く」感覚に近いのに対し、バルカンチェンジは「挟んで押し出す」感覚が強く出ます。その結果、シュート回転がかかりにくく、打者の手元で小さく沈むような変化が生まれます。

スプリットチェンジ(SFF)の投げ方

スプリットチェンジは、スプリットとチェンジアップの中間に位置するボールです。ストレートと同じ腕の振りから、打者の手元で急激に落ちるのが特徴です。

  1. 人差し指と中指を縫い目に沿って少し広げる
  2. フォークほど大きく広げる必要はない
  3. 親指は下、薬指と小指は側面に軽く添える

ストレートを投げるつもりで思い切り腕を振り、リリースで指の間から「すっぽ抜けさせる」感覚を意識します。これにより無回転に近い状態となり、空気抵抗を受けて急激に落下します。球速差は小さいですが、打者がストレートと誤認しやすいため効果的です。

ただし、指を開く形になるため、肘や指への負担が他のチェンジアップより大きい点には注意が必要です。

打者を幻惑するチェンジアップの投げ方フォーム

チェンジアップの生命線は、打者に「ストレートが来る」と最後の瞬間まで思わせることです。そのためには、握り方やボールの抜き方以上に、ストレートと寸分違わぬ投球フォームで投げることが絶対条件となります。腕の振りが少しでも緩めば、経験豊富な打者は即座に見抜いてしまうでしょう。

ここでは、打者を幻惑するための、安定した美しいフォームの作り方を3つのステップに分けて徹底解説します。

下半身主導で安定したフォームを作る

チェンジアップは腕先で操作する変化球ではありません。ストレートと同じように下半身主導で生み出したエネルギーをボールに伝えることで、初めて腕の振りを緩めずに投げることができます。手投げになると、コントロールが定まらないだけでなく、フォームが崩れて打者に見破られる原因にもなります。

まずは軸足にしっかりと体重を乗せ、その力を前へ移動させる「並進運動」を意識しましょう。踏み出した足が着地した瞬間に、体がぐらつかないよう体幹でしっかり支えることが重要です。下半身と体幹が安定することで、上半身の余計な力が抜け、腕をスムーズに振ることが可能になります。

意識するポイントNGな例
軸足の母指球に体重を乗せる
地面を蹴るのではなく、前へ体重移動する
踏み込み足の着地で体幹を安定させる
上体だけで投げてしまう(手投げ)
体が早く開いてしまう
着地時に膝が割れてしまう

ストレートと同じ軌道から変化させるリリース

リリースこそが、チェンジアップ最大の勝負所です。腕の振りを緩めたり、リリースポイントがずれたりすると、打者に簡単に見破られてしまいます。理想は、ストレートと同じ腕の振り、同じリリースポイントでボールを放つことです。

そのためには「抜く」感覚を身につけましょう。指先で押し出すのではなく、手のひらから自然にボールがすっぽ抜けるイメージです。この感覚によって、腕の振りは速いままなのに球速だけが落ち、打者のタイミングを外すことができます。

深く握り、鷲掴みにするようにボールを扱うと「抜き」の感覚がつかみやすくなります。結果として、ボールはストレートと同じ軌道を描きながら打者に向かい、最後に失速して沈むため、空振りを誘いやすくなるのです。

投げ終わりのフォロースルーまで意識する

投球はリリースで終わりではありません。フォロースルーまでが一連の動作です。チェンジアップを投げた後も、ストレートと同じように腕を大きく振り抜き、体に巻きつけるようにしてください。

リリース直後、意識的に腕の振りを止めてしまうと、フォームが不自然に見えるだけでなく、肩や肘に急激なブレーキがかかり、故障のリスクを著しく高めてしまいます。美しいフォロースルーは、腕を自然に減速させ、体への負担を軽減する役割も担っているのです。

最後までしっかり腕を振り切ることで、投球フォーム全体に一貫性が生まれ、打者は球種を判断しにくくなります。安定した下半身や鋭い腕の振り、そして自然なフォロースルー。この3つが揃って初めて、打者を幻惑する一級品のチェンジアップが完成します。

段階別で取り組むチェンジアップの練習法

チェンジアップは、ストレートと同じ腕の振りで投げることで打者のタイミングを外す球種です。しかし繊細な感覚が求められるため、いきなり全力で投げ込むとフォームを崩したり、肩や肘に負担をかけてしまうことがあります。

ここでは、基礎から実戦、応用まで段階を踏んだ練習法を紹介します。焦らず一歩ずつステップアップしていきましょう。

基礎編 シャドーピッチングでフォームを固める

最初のステップは、ボールを持たずに正しいフォームを体に覚えさせることです。シャドーピッチングは、場所を選ばずにできる最も基本的な練習であり、チェンジアップ習得の土台となります。

まずは、鏡の前で自分のフォームを確認しながら、ストレートを投げる時と同じ動きを意識して腕を振ってみましょう。よくある失敗は「チェンジアップだから」と腕の振りを緩めてしまうことです。これでは打者に簡単に見抜かれてしまいます。ストレートと同じスピードで腕を振ることを徹底してください。

次に、タオルを使った練習を取り入れます。タオルの先端を結び、それを指に挟んで投球動作を行うと、正しく腕を振った時に「ビュッ」という音が鳴ります。これにより、鋭い腕の振りを維持しながら「抜く」感覚を身につけられます。

この段階では、以下の点を繰り返し確認してください。

  • ストレートと腕の振りの速さ、軌道が同じか
  • リリースポイントで腕が緩んでいないか
  • ボールを「抜く」瞬間の指の感覚をイメージできているか
  • 体重移動や下半身の使い方はストレートと同じか

この基礎練習を反復することで、体に正しい動きが染みつき、次のステップへスムーズに進むことができます。

実践編 捕手を座らせて投球する際のポイント

シャドーピッチングでフォームのイメージが固まったら、いよいよ実際にボールを投げていきます。ここでも焦りは禁物です。まずは近距離から始め、徐々に距離を伸ばしていきましょう

最初はキャッチャーを立たせたまま、マウンドの半分くらいの距離から軽く投げ始めます。目的は、ボールが指からすっぽ抜ける感覚を実際に掴むことです。力を入れる必要はありません。握り方を確認し、腕を振り、自然にボールが手から離れていく感触を確かめましょう。

その後は距離を伸ばし、最終的に捕手を座らせて正規の距離で投げ込みます。このときも大切なのは「腕の振りがストレートと同じかどうか」です。捕手に確認してもらい、客観的な評価を受けると効果的です。

実践練習のステップは次の通りです。

ステップ練習内容目的注意点
1ネットスロー(5m程度)ボールが指から抜ける感覚を掴む力まず、手首をこねない
2立ち投げ(10-15m)腕の振りを意識し、リリースを安定させるストレートと同じ腕の振りを徹底
3捕手を座らせる(正規距離)実戦に近い形でコントロールと変化を確認する球速差よりもストライク優先、低めを狙う

投げたボールの回転も観察しましょう。理想は無回転に近いか、わずかにシュート回転がかかった状態です。逆にスライダー回転になる場合は、手首をひねりすぎている可能性があるので、基礎練習に戻って修正しましょう。

応用編 試合で効果的に使うための配球術

チェンジアップを投げられるようになったら、次はいかにして試合で有効に使うかを考えます。優れた変化球も、使い方を間違えればただの失投になりかねません。配球術を学び、ピッチングの幅を広げましょう。

大前提として、チェンジアップはキレのあるストレートがあってこそ最大の効果を発揮するボールです。打者にストレートを意識させ、そのタイミングを外すのが基本戦術となります。そのため、まずは自分のストレートを磨くことが不可欠です。

効果的な使い方の例は以下の通りです。

  • 決め球として使う:追い込んだ場面で外角低めに投げ、空振りを狙う
  • カウントを稼ぐ球として使う:初球や早いカウントで投げ、打者の意表を突く
  • ゴロを打たせる球として使う:ランナーがいる場面で低めに沈め、併殺を狙う

具体的な配球例をいくつか見てみましょう。

状況打者のタイプ配球の狙い配球例
2ストライク、ランナーなし強打者空振り三振を奪う外角高めストレート → 外角低めチェンジアップ
初球早打ち傾向の打者タイミングを外し、打ち損じを誘う初球に外角チェンジアップ
1ストライク1ボールミートが上手い打者ストライクカウントを先行させるインコースストレート → アウトコースチェンジアップ

このように、チェンジアップはストレートと組み合わせてこそ真価を発揮します。捕手との意思疎通を大切にし、打者の反応を見ながら最も効果的なタイミングで使うことが、試合を支配する鍵となります。

チェンジアップの投げ方に関するよくある質問

チェンジアップの習得を目指す中で、多くの投手が共通の悩みや疑問を抱きます。ここでは、特に質問の多い3つの項目について、専門的な視点から詳しく解説します。成長期の選手から、さらなるレベルアップを目指す投手まで、ぜひ参考にしてください。

小学生や中学生でも投げて大丈夫?

結論から言えば、正しいフォームで無理なく投げるのであれば可能です。チェンジアップはスライダーやカーブのように手首を大きくひねらずに済むため、変化球の中では比較的、肩や肘への負担が少ない球種とされています。

ただし、成長期の体は非常にデリケートです。以下の点には十分注意しましょう。

  • 投球数を守る:チェンジアップに限らず、1日の投球数を制限し、連投を避けること。
  • フォームを優先する:まずはストレートのフォームを安定させてから。基礎ができていない段階で変化球を覚えると故障の原因になります。
  • 無理な「抜き」はしない:球速を落とそうと腕や肘を下げたり、手首をこねたりするのは危険。ストレートと同じ振りを徹底すること。
  • 指導者にチェックしてもらう:自己流はリスクが高いため、経験豊富な指導者にフォームを確認してもらうのが安全です。

これらの注意点を守ることで、故障のリスクを最小限に抑えながら、投球の幅を広げる武器としてチェンジアップを安全に習得できます。

コントロールを安定させるにはどうすればいいか

チェンジアップのコントロールが定まらない主な原因は、腕の振りが緩む・リリースポイントが定まらないの2点に集約されます。ボールを抜こう、緩めようという意識が強すぎると、無意識に腕の振りが遅くなり、フォーム全体のバランスが崩れてしまうのです。

安定したコントロールを手に入れるためには、「ストレートと寸分違わぬ腕の振りで、リリースだけを変える」という意識改革が不可欠です。具体的な改善ポイントは以下の通りです。

腕の振りをストレートと変えない

最も重要なポイントです。打者を騙すためだけでなく、安定した制球力を身につけるためにも、腕の振りは常に全力でストレートを投げるつもりで振り抜きましょう。キャッチボールの段階から、腕の振りを緩めずにチェンジアップを投げる練習を繰り返すことが効果的です。

リリースポイントを前にする意識

ボールがすっぽ抜けたり、叩きつけたりする場合、リリースポイントが早すぎるか遅すぎる可能性があります。捕手寄りでボールを押し出すイメージを持ちましょう。人差し指や中指でボールを押し出すようにリリースすることで、ボールに最後の方向付けができ、コントロールが安定しやすくなります。

下半身主導のフォームを徹底する

手先だけでコントロールしようとすると、投球は安定しません。軸足にしっかりと体重を乗せ、その力をステップする足へとスムーズに体重移動させる一連の流れが重要です。安定した下半身が、上半身のブレをなくし、結果的にリリースポイントの安定に繋がります。

もっと球速差を出すにはどうすればいいか

チェンジアップ最大の武器はストレートとの球速差です。腕の振りを変えずにボールを遅くするには「力をボールに伝えすぎない工夫」が必要です。そのためのコツは、ボールに伝わる力をいかに効率よく「逃がす」かという点にあります。具体的な方法をいくつか紹介します。

  • 深く握る:手のひらで包み込むように握ると、指のかかりが浅くなり自然に減速します。
  • 指の使い方を工夫する:サークルチェンジでは人差し指と親指で輪を作り、中指・薬指で「抜く」感覚を意識すると回転が抑えられ、球速差が生まれます。
  • プロネーション(腕の内旋)を使う:リリース直後に腕を内側にひねると、回転が減り、球速が落ちやすくなります。ただし高度な技術であり、無理をすると肘を痛めるリスクがあるため慎重に練習する必要があります。

重要なのは、どの方法を試しても腕の振りはストレートと同じ速さで行うことです。速い振りから遅いボールが出ることで初めて、打者はタイミングを外されます。

まとめ

本記事では、山本由伸投手の代名詞でもあるチェンジアップを例に、基本的な握り方からフォーム作り、段階的な練習法までを解説しました。

チェンジアップの最大のポイントは、どんな握り方を選んでも、ストレートと同じ腕の振りで投げることです。この「同じフォームから球速差を生む仕組み」こそが、打者を翻弄する秘訣となります。まずは自分の手に合う握り方を試し、シャドーピッチングでフォームを固めるところから始めてください。そのうえでキャッチボールやブルペンで投げ込み、実戦で使えるレベルへと段階的に引き上げていきましょう。

チェンジアップを習得できれば、投球の幅は格段に広がり、強打者相手にも自信を持って勝負できるはずです。今日から一歩ずつ、自分だけの決め球を磨いてみてください。

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