送りバントとは？戦術の意味と成功率を上げるコツ5選｜少年野球から草野球まで

送りバントが戦術で重要と言われる理由とは？本記事では、意味や戦術的な役割を詳しく解説します。さらに、試合で成功率を高めるための実践的なポイントも紹介。この記事を読めば、走者を確実に進めてチームの勝利に貢献するバント技術の奥深さが理解でき、プレーがより楽しくなります。

送りバントとは まず知っておきたい基本の定義と目的

野球の試合で頻繁に見られる「送りバント」は、チームの勝利に貢献するための重要な作戦の1つです。

特に接戦でどうしても1点が欲しい場面でその真価を発揮します。ここでは、送りバントがどのようなプレーなのか、基本的な定義と目的を分かりやすく解説します。

走者を進めるための自己犠牲のプレー

送りバントとは、打者（バッター）が自分自身のアウトと引き換えに、塁上の走者（ランナー）を次の塁へ進めることを目的としたバントのことです。

公式には「犠牲バント」や「犠打」とも呼ばれます。 通常の打撃のようにバットを振るのではなく、ボールが投じられるコースにバットを合わせて勢いを殺し、内野に緩いゴロを転がします。

このプレーの核心は、チームの得点チャンスを広げるための「自己犠牲」の精神にあります。アウトカウントを一つ増やしてでも、走者を得点圏（二塁または三塁）に進めることで、次の打者がヒットを打った際に得点できる可能性を大きく高めるのが狙いです。

セーフティバントやスクイズとの違い

バントには送りバントの他にも、状況や目的によって使い分けられるいくつかの種類があります。特に混同されやすい「セーフティバント」と「スクイズ」との違いを理解することで、送りバントの役割がより明確になります。

種類	主な目的	打者の意図	主な実行場面
送りバント （犠牲バント）	走者の進塁	自身はアウトになる前提（自己犠牲）	無死または一死で走者が一塁や二塁にいるとき
セーフティバント	打者自身の出塁	内野安打を狙う（奇襲）	相手守備がバントを警戒していない場面全般
スクイズ	三塁走者の生還（得点）	必ずバットに当ててゴロを転がす	無死または一死で走者が三塁にいる、1点が欲しい場面

これらの主な違いは、プレーの目的にあります。

送りバントは走者を進めることが最優先であるのに対し、セーフティバントは打者自身が生きること、そしてスクイズは三塁走者をホームに還し得点することが最大の目的です。

それぞれの目的が異なるため、打者の構え方や狙うコース、そして作戦が選択される試合状況も大きく変わってきます。

送りバントが持つ戦術的な意味とは

送りバントは、単に打者がアウトになる代わりに走者を進める自己犠牲のプレーというだけではありません。試合の状況を読み、1点を確実に奪うために用いられる、奥深い戦術的な意味合いを持っています。

ここでは、送りバントが野球というスポーツにおいて、いかに重要な役割を担っているのかを多角的に解説します。

1アウトで得点圏に走者を進める重要性

野球において「得点圏」とは、二塁または三塁に走者がいる状況を指し、1本のヒットで得点できる可能性が格段に高まるチャンスの場面です。 送りバントの最も基本的な目的は、この得点圏に走者を送り込むことにあります。

例えば、無死一塁の状況を考えてみましょう。ここから得点するには、多くの場合ヒットが2本必要になる可能性があります。 しかし、送りバントで1アウト二塁の状況を作れば、次の打者の単打（シングルヒット）で1点を取れる可能性が生まれます。

これは、得点がどれだけ期待できるかを示す「得点期待値」という指標で考えることができます。 データ上、無死一塁から送りバントをすると得点期待値は下がることが多いという分析もありますが、1点を確実に取るための「得点確率」は状況によって上昇する場合があります。

特に接戦の終盤など、大量得点よりも「まず1点」が欲しい場面において、送りバントは極めて有効な戦術となるのです。

試合の流れを引き寄せる一手としての役割

送りバントの成功は、得点チャンスを拡大するだけでなく、チーム全体に「1点を取る」という明確な意志を浸透させ、一体感を生み出します。1つのアウトを犠牲にしてでもチームの勝利のために走者を進めるという姿勢は、ベンチやスタンドの士気を高め、試合の流れを自チームに引き寄せるきっかけとなり得ます。

一方で、相手チームにとっては大きなプレッシャーとなります。確実に得点圏に走者を進められると、守備側は「次の1本で失点する」という緊迫した状況に置かれます。このプレッシャーが、相手投手や野手の冷静な判断を狂わせ、思わぬミス（例えば、バッテリーエラーや守備の乱れ）を誘発することもあるのです。

特に、なかなかヒットが出ない投手戦の均衡を破る一手として、送りバントは数字以上の効果を発揮することがあります。

送りバントが特に有効となる試合状況

送りバントは、あらゆる状況で有効なわけではありません。その効果を最大限に発揮するためには、「いつ」「どのような状況で」使うかの判断が極めて重要になります。以下に、送りバントが特に有効とされる代表的な試合状況をまとめました。

試合状況	戦術的な目的・狙い	解説
試合終盤の接戦（1点差など）	1点を確実に奪い、勝利を決定づける	1点が勝敗を分ける場面では、得点期待値よりも1点を取る確率を重視します。サヨナラのチャンスなどでは最も効果的な戦術の一つです。
無死一塁	得点圏に走者を進め、チャンスを拡大する	最も基本的な送りバントの状況です。次の打者がヒットを打てば同点や勝ち越しにつながる場面で選択されます。
無死一、二塁	併殺打（ダブルプレー）を避け、一打で複数得点のチャンスを作る	ヒッティングでは最悪の場合ダブルプレーでチャンスが潰えますが、バントで1アウト二、三塁とすることで、そのリスクを回避し、得点の可能性を大きく高めます。
相手が好投手で、なかなか打てない時	数少ないチャンスを確実に活かす	連打が期待できない投手戦では、四球やエラーなどで得た一人の走者を、バントで着実に得点圏に進めることが貴重な1点につながります。
下位打線に打順が回る前	上位打線の前に得点圏の状況を作る	打力のある上位打者に、より得点しやすい状況で打席を回すための作戦です。チーム全体の攻撃力を最大限に活かすための戦術と言えます。

送りバントの成功率を上げるコツ5選

送りバントは、1つのアウトと引き換えに走者を進塁させる自己犠牲のプレーです。送りバントの成功率を高めることは、チームの得点力向上に直結します。

ここでは、少年野球から草野球まで、すべてのプレーヤーが実践できる送りバント成功のコツを5つに絞って具体的に解説します。

1. 投球に負けない正しい構えとバットの持ち方で土台をつくる
2. ボールの勢いを殺す膝の使い方とバットの角度に注意する
3. 一塁側と三塁側のどちらを狙うか状況で使い分ける
4. ストライクゾーンを見極めバントしやすい球を狙う
5. 走者との連携を深めるサインプレーを意識する

コツ1：投球に負けない正しい構えとバットの持ち方で土台をつくる

送りバントの成否は、構えの段階で大半が決まると言っても過言ではありません。投手の投球の勢いに負けず、安定してボールをバットに当てるための土台作りが重要です。

正しい構えのポイント

バントの構え方にはいくつか種類がありますが、どの構え方にも共通する基本は、目とバットの距離を一定に保ち、下半身を使ってボールに対応することです。 構えのスタンスは主に3種類あり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。

• オープンスタンス: 投手に対して体を開いて構えるため、ボールは見やすいですが、インコースの速い球への対応が難しく、デッドボールの危険性も高まります。
• クローズドスタンス: 打撃時のように半身で構えるため、ボールとの距離感を保ちやすく、膝を使いやすいのでアウトコースにも対応しやすいのが特徴です。 プロ野球選手にも多く見られます。
• スクエアスタンス: 通常の打撃スタンスに近い構えで、バントだと相手に気付かれにくく、セーフティバントにも向いています。

どのスタンスを選ぶにせよ、重心を低くし、膝を軽く曲げて安定させることが大切です。 構える際は、ストライクゾーンの一番高い位置にバットをセットし、それより高いボールは見送る意識を持ちましょう。

バットの持ち方と角度

バットの持ち方も重要です。投手側の手はグリップエンドを握り、捕手側の手はバットの芯より少し先端寄りの部分を軽く握ります。このとき、5本の指でしっかりとバットを支え、ボールの衝撃に負けないようにすることがポイントです。 親指と人差し指の間で挟むように持つと、ボールの勢いに押されてしまう可能性があります。

バットの角度は地面と平行か、ややヘッドを立て気味に構えることで、打球がフライになるのを防ぎます。

コツ2：ボールの勢いを殺す膝の使い方とバットの角度に注意する

送りバントでは、打球の勢いをいかに殺すかが成功のカギを握ります。強い打球は野手の正面に転がりやすく、進塁どころか併殺（ダブルプレー）になる危険性も高まります。

膝をクッションとして使う

ボールがバットに当たるインパクトの瞬間、膝を柔らかく使って衝撃を吸収するイメージを持ちましょう。 棒立ちのままバットに当てると、ボールの勢いをそのまま反射してしまい、速いゴロになってしまいます。手だけでバットを引いて勢いを殺そうとすると、かえって失敗しやすくなります。

体全体、特に膝のクッションを使ってボールの力を受け止めることが大切です。

バットの角度と当てる位置

ボールの勢いを殺すもう1つのコツは、バットに当てる位置と角度です。バットの芯を少し外し、やや先端寄りに当てることを意識しましょう。 芯で捉えると打球が強くなりすぎるためです。 また、ボールの下半分ではなく、上半分を叩くようにバットの角度を調整することで、ゴロになりやすくなります。

このとき、バットの面を変えずに体全体で引くような動作ができると、より効果的に勢いを殺せます。

コツ3：一塁側と三塁側のどちらを狙うか状況で使い分ける

送りバントは、ただ前に転がせば良いというものではありません。走者の位置や相手の守備体系によって、転がすべき最適な方向が変わってきます。 状況判断が成功率を大きく左右します。

状況	狙う方向	理由とポイント
走者一塁	一塁側（投手と一塁手の間）	一塁手はベースについているため、前進が遅れます。 捕球した野手（主に投手か一塁手）が二塁へ送球する際に体勢が反転するため、送球に時間がかかり成功率が高まります。
走者二塁	三塁側（三塁線寄り）	三塁手は三塁ベースから大きく離れられないため、一塁手ほど猛然とチャージしてきません。 三塁手に捕らせるように少し強めに転がすことで、三塁ベースががら空きになり、走者が安全に進塁できます。
走者一、二塁	三塁側（三塁線寄り）	走者二塁の状況と同様、三塁側を狙うのが基本です。三塁手が前に出れば三塁が、投手や捕手が処理すれば本塁が空くため、相手の守備を難しくさせることができます。

一般的に、走者一塁の場合は一塁側へ、走者二塁の場合は三塁側へ転がすのがセオリーとされています。 これは、送球する野手から進塁先の塁を遠ざけ、送球時間を稼ぐためです。それぞれの状況における狙いとポイントを理解しておきましょう。

コツ4：ストライクゾーンを見極めバントしやすい球を狙う

送りバントは基本的にストライクのボールに対して行うものです。 難しいボール球に手を出してしまい、ファウルやポップフライで失敗するケースは少なくありません。どのボールをバントし、どのボールを見送るかという選球眼も、成功率を上げる重要な要素です。

バントしやすいボールとはストライクゾーンの高め

一般的に、ストライクゾーンの高めのボールが最もバントしやすいと言われています。 高めのボールは目線に近く、バットの角度を合わせやすいため、確実にミートできます。また、バットを上からかぶせるように使えるため、ゴロを転がしやすいという利点もあります。

ボールゾーンは見送る勇気も必要

一方で、ストライクゾーンの低め、特にボールゾーンになる低めの球は非常にバントが難しいコースです。バットが下から出やすくなり、フライを上げてしまう最大の原因となります。

バントのサインが出ていても、明らかに難しい低めのボールは見送る勇気が必要です。無理に手を出してカウントを悪くするよりも、次のボールを待つ方が賢明な判断と言えるでしょう。

コツ5：走者との連携を深めるサインプレーを意識する

送りバントは打者一人で行うプレーではありません。走者との緊密な連携があって初めて成功確率が高まります。サインプレーであることを常に意識し、走者との意思疎通を図ることが不可欠です。

サインの確認と走者との意思疎通

ベンチから出されるサインを正確に理解することはもちろん、投球前に走者とアイコンタクトを取るなど、プレー開始のタイミングを確認し合うことが重要です。

打者がバントの構えを見せることで、走者はスタートを切る準備に入ります。空振りや見逃しをした場合は、バットを大きく引くなどして走者に意図を伝え、飛び出しすぎによる牽制アウトを防ぐ配慮も必要です。

偽装（フェイク）の重要性

相手バッテリーや内野手は、バントの動きを警戒しています。あまりに早く構えすぎると、相手に的を絞られ、ピッチアウトなどで作戦を潰される可能性があります。

投手がモーションに入るギリギリまで通常の構えを保ち、そこから素早くバントの構えに移る「バスター」のような動きを取り入れることで、相手の意表を突くことができます。

こうした駆け引きも、サインプレーを成功させるための重要な技術の一つです。

少年野球からできる送りバントの基本練習法

送りバントは、ただバットにボールを当てるだけのプレーではありません。正しい技術と状況判断能力を繰り返し練習することで、初めてチームの勝利に貢献できる重要な戦術となります。ここでは、特に野球を始めたばかりの少年野球の選手でも取り組める、基本的かつ効果的な練習法を2つ紹介します。

バットコントロールを養うトスバッティング

バントの成功率を上げるためには、ボールの勢いを殺し、狙った場所に正確に転がす繊細なバットコントロールが不可欠です。その感覚を養う第一歩として、近距離からのトスバッティングは非常に有効な練習方法です。

練習の手順と意識するポイント

まずは、通常のバントの構えを作り、パートナーに5メートルほどの距離から山なりのボールを投げてもらいます。このとき、以下のポイントを強く意識してください。

チェック項目	意識する内容	目的
目線	ボールから最後まで目を離さない	ボールの軌道を正確に捉え、ミート率を上げるため
膝の使い方	ボールが当たる瞬間に軽く曲げ、クッションのように使う	ボールの勢いを殺し、勢いのないゴロを転がすため
バットの角度	地面と平行に近い角度を保ち、上下に動かさない	ポップフライやファールを防ぎ、フェアゾーンに転がすため
グリップ	バットを短く持ち、リラックスして握る	細かなバット操作を可能にし、コントロールを安定させるため

重要なのは、バットを振るのではなく、飛んでくるボールをバットの面で「迎えにいく」意識を持つことです。ボールがバットに当たる瞬間に膝を柔らかく使い、衝撃を吸収することで、ボールの勢いを殺すことができます。最初は空振りしても構いません。繰り返し練習することで、バットの芯でボールを捉える感覚が身についていきます。

実戦を想定した状況判断トレーニング

バントの技術が向上したら、次は「いつ」「どこに」転がすべきかを判断する練習が必要です。実戦では、相手の守備位置や走者の状況によって、狙うべきコースが大きく変わります。状況判断能力を養うためには、ケースバッティング形式の練習が最も効果的です。

練習の手順と意識するポイント

実際に走者を塁に置き、「ノーアウト・ランナー一塁」や「ワンアウト・ランナー二塁」といった具体的な試合の状況を設定して練習を行います。

指導者は守備のシフトを指示し、打者はその状況で最も成功率が高いと思われるコースにバントを試みます。

状況設定	主な狙い（コース）	プレーの意図
ノーアウト・ランナー一塁	一塁線（投手と一塁手の間）	併殺プレーを防ぎ、確実に走者を二塁へ進める。
ノーアウト・ランナー二塁	三塁線（投手と三塁手の間）	三塁手に捕球させ、走者を三塁へ進める。
ノーアウト・ランナー一、二塁	三塁線 or 投手の正面	三塁手に捕球させて三塁フォースアウトを防ぎ、二、三塁の形を作る。

例えば、「ノーアウト・ランナー一塁」で相手が一塁手のチャージを警戒している場面では、三塁側へ確実に転がす判断が求められます。

この練習の目的は、単にバントを成功させるだけでなく、試合の状況を正確に読み解き、最も成功確率の高いプレーを選択する能力を身につけることにあります。

これらの練習を反復することで、技術と判断力が結びつき、プレッシャーのかかる試合本番でも、自信を持って送りバントを決められるようになります。

プロ野球の名手から学ぶ送りバントの極意

送りバントは、1つのアウトと引き換えに走者を進める、勝利のために欠かせない戦術です。ここでは、プロ野球の歴史に名を刻む「バント職人」たちの技術と哲学に迫り、その極意を学びます。彼らの技術は、少年野球から草野球まで、すべてのプレーヤーにとって成功率を上げるための貴重なヒントとなるでしょう。

元巨人軍 川相昌弘氏に学ぶ「犠打職人」の神髄

プロ野球界で「バントの神様」と称される川相昌弘氏は、その卓越した技術で数々の記録を打ち立てました。彼のバントは、単なる自己犠牲のプレーではなく、チームを勝利に導くための芸術でした。

通算533犠打の世界記録保持者

川相氏が積み上げた通算533犠打は、ギネス世界記録にも認定されている大記録です。 誰もがバントをすると分かっているプレッシャーのかかる場面で、確実に成功させてきたその実績は、技術だけでなく強靭な精神力の賜物と言えるでしょう。通算の犠打成功率は9割を超えており、その安定感は群を抜いていました。

川相流バント術のポイント

川相氏のバント技術には、成功率を高めるための明確な哲学があります。彼が特に重要視していたのは、打球の勢いを殺すことよりも、確実にフェアゾーンの狙った方向へ転がすことでした。

• 狙い球を絞る意識: バッティングと同様に、バントにも狙い球があります。ストライクゾーン全てに対応しようとせず、自分が決めやすいコース、例えばインコースのボールに的を絞ることで、成功率を高めていました。
• 恐怖心を克服する構え: インコースの速球に対しては、恐怖心を持たずにバットの面を保ち、後ろ足を少し引いて体との間に空間を作ることが重要だと語っています。 これにより、ボールとの距離を確保し、正確なバットコントロールを可能にします。
• 目とバットの位置関係を保つ: 構えた際に、目とバットの位置関係を変えないことを意識していました。 手先だけで操作するのではなく、体全体を使ってバットを固定し、安定したバントを生み出していたのです。

現役選手に見るバントの名手たちとその技術

現代のプロ野球界にも、チームの戦術を支えるバントの名手が存在します。彼らは、川相氏の哲学を受け継ぎつつ、独自の工夫を加えて高い成功率を誇っています。

状況判断と確実性を両立させる名手たち

送りバントは、その場の状況判断が極めて重要です。投手のフィールディング能力や野手の守備位置を瞬時に把握し、最も成功しやすいコースへ転がす技術が求められます。 ここでは、球界を代表する3選手を紹介します。

選手名	所属チーム	特徴
今宮 健太	福岡ソフトバンクホークス	パ・リーグ記録のシーズン62犠打を記録したこともある名手。 2020年には史上最年少で通算300犠打を達成。 確実に走者を進める堅実なバント技術に加え、時にはセーフティバントで相手の意表を突く器用さも兼ね備えている
菊池 涼介	広島東洋カープ	シーズン最多犠打を何度も獲得している球界屈指のバント職人。 2016年には史上初めて最多安打と最多犠打を同時に記録し、打撃と小技を両立。 2022年には通算300犠打も達成しており、長打力も持ち合わせながら、チームのために自己犠牲のプレーを選択できるのが最大の強み
源田 壮亮	埼玉西武ライオンズ	シーズン最多犠打を記録した経験を持つ、堅実なバント技術が光る選手。 2020年シーズンには、試みた送りバントをすべて成功させるなど、驚異的な成功率を誇る。 構えが遅れないことや体を固めないといった基本的なポイントを大事にしている

これらの名手たちに共通するのは、単にバットにボールを当てる技術だけではありません。試合の流れを読み、相手の守備体系を見極め、そしてプレッシャーのかかる場面で確実に任務を遂行する冷静な判断力と精神力こそが、彼らを「職人」たらしめているのです。

まとめ

本記事では、送りバントの基本的な定義から戦術的な意味、そして成功率を上げる5つのコツまでを解説しました。送りバントは単なる自己犠牲のプレーではなく、1つのアウトと引き換えに走者を得点圏に進め、試合の流れを大きく左右する重要な戦術です。正しい構えやボールの勢いを殺す技術、状況判断を身につけることで、その成功率は格段に上がります。

日々の練習を大切にし、チームの勝利に貢献できる確実なバント技術を習得しましょう。