
なぜあなたの打球は上がらず、ゴロばかりになってしまうのか?
主な原因は、自分では気づきにくい体の開きや、間違ったスイング軌道にあります。本記事では、ゴロになる原因をセルフチェックする方法から、初心者でもすぐに実践できる具体的な練習ドリルまで解説します。
この記事を読めば、自分の打撃の課題が明確になり、正しいスイング軌道を身につけて、これまでとは見違えるような力強い打球を飛ばすための具体的な方法がわかります。
打球が上がらない主な5つの原因をセルフチェック

「長打を打ちたいのに、ゴロや低いライナーばかりになってしまう…」野球を始めたばかりの方や、なかなか打撃が上達しないと感じている選手の多くにみられる悩みです。強い打球を打ち、遠くへ飛ばすためには、打球に適切な角度をつけることが求められます。
しかし、なぜあなたの打球は上がらないのでしょうか。原因は、バットの振り方や体の使い方にあるかもしれません。この章では、打球が上がらない選手に共通してみられる5つの主な原因を解説します。まずは自分のバッティングフォームに当てはまるものがないか、セルフチェックしてみましょう。
原因1:体の開きが早すぎる
バッティングにおいて「体の開き」とは、スイングの際にピッチャー側の肩や胸が、ボールを捉えるインパクトの瞬間よりも早くピッチャー方向へ向いてしまう状態を指します。 打ちたい気持ちが強すぎると、上半身に力が入り、下半身の回転よりも先に上半身が回転してしまいがちです。
体の開きが早いと、バットが遠回りする「ドアスイング」と呼ばれる軌道になりやすくなります。 ボールの外側を叩いてしまい、力が十分に伝わらず弱いゴロになったり、バットのヘッドが下がってボールの上を叩いてしまったりするのです。
また、ボールをギリギリまで引きつけて見極めることが難しくなり、特に変化球への対応が困難になります。 インパクトの瞬間に胸やおへそがホームベース側を向いている状態が理想的です。
原因2:ボールを上げようと「すくい打ち」になっている
打球を上げたいという意識が強すぎるあまり、意図的にボールの下にバットを入れようとして「すくい打ち」になってしまうケースも、打球が上がらない原因です。 一見、ボールが上がりそうに思えますが、これは逆効果。無理にすくい上げようとすると、スイング軌道が本来の円運動から外れ、不安定になります。
その結果、ボールのさらに下をくぐって空振りしたり、ボールの上っ面を叩いて弱いゴロになったり、あるいは高く打ち上がりすぎたポップフライになったりと、ミスの確率が高くなります。 理想的な打球は、ボールを上げようとして打つのではなく、正しいスイング軌道でボールの中心を正確に捉えた結果として、自然に上がっていくものです。ボールを上げようという意識は一度捨て、正確なインパクトを心がけることが重要です。
原因3:間違ったスイング軌道で振っている
打球が上がらない根本的な原因に、スイングの軌道そのものに問題がある場合があります。 特に初心者に見られがちな、代表的な2つの誤ったスイング軌道について解説します。
アウトサイドイン軌道になっている
アウトサイドイン軌道とは、バットが体の外側から出てきて、インパクト後に内側(キャッチャー側)へ抜けていくスイング軌道のことです。 別名「カット打ち」とも呼ばれ、バットがボールに対して斜めに入り、上からボールを叩きつけるような形になります。
この軌道では、ボールにスライス回転がかかりやすく、力が伝わらない弱いゴロや、ファウルになる確率が高まります。 理想的なスイングは、この逆の「インサイドアウト」の軌道です。バットが体の内側から出てくることで、最短距離でバットをボールにぶつけることができ、力を効率的に伝えられます。
極端なダウンブローで叩きつけている
日本では古くから「上から叩け」という指導が根強くあり、その影響で極端なダウンブロー(ダウンスイング)になっている選手も少なくありません。 ダウンブローとは、バットを上から下へ振り下ろす軌道のことです。 もちろん、ボールの軌道に対してバットを水平かやや上向きの角度で入れるためには、ある程度のダウンブローは必要ですが、これが極端すぎると問題が生じます。
極端なダウンブローは、ボールを地面に叩きつけるだけのスイングになり、強いゴロしか打てません。 また、ボールとバットが点でしか交わらないため、ミートするのが難しく、打率が上がりにくいというデメリットもあります。 現代の野球では、ボールの軌道にバットを長く入れて確率を上げる「レベルスイング」や、ややアッパー気味のスイングが主流となっています。
原因4:正しい体重移動ができていない
バッティングのパワーは、下半身から上半身へと連動させることで生まれます。その要となるのが軸足(右打者なら右足)から踏み込み足(左足)へのスムーズな体重移動です。 この体重移動がうまくできていないと、いわゆる「手打ち」の状態になり、ボールに十分な力を伝えることができません。
例えば、踏み込んだ際に上半身も一緒にピッチャー方向へ突っ込んでしまうと、体の開きが早くなるだけでなく、インパクトで力が逃げてしまいます。 逆に、体重が軸足に残りすぎても、回転の力が使えず飛距離は出ません。
正しい体重移動ができている状態とは、下半身が先に動き出し、上半身がそれに続いて回転する「割れ」が作れている状態です。 これにより、下半身で生み出したパワーをロスなくバットに伝えることができます。
原因5:アドレス時のボールの位置が不適切
見落としがちですが、アドレス(構え)の段階でボールと体の距離や位置関係が不適切なために、打球が上がらないというケースも多くあります。 毎回同じスイングをするためには、毎回同じアドレスをすることが大前提です。ボールの位置が毎回異なると、スイング軌道も安定しません。
例えば、ボールに近づきすぎると窮屈なスイングになり、逆に遠すぎると体が前に突っ込みやすくなります。また、ボールを体の中心に置きすぎると、バットが詰まってしまい、強い打球を打つことができません。
コースによって最適なインパクトポイントは変わりますが、まずは自分にとって最も振りやすい基準となるボールの位置を見つけることが大切です。
| コース | ボールを捉える位置 | 特徴 |
|---|---|---|
| インコース | 体の前(ピッチャー寄り) | 体を素早く回転させて、詰まらないように前でさばく |
| 真ん中 | 体の中心線上、または少し前 | 最も力が伝わりやすい基本のポイント |
| アウトコース | 体に近い(キャッチャー寄り) | ボールをしっかり引きつけて、逆方向へ打ち返す意識を持つ |

初心者でもできる打球を上げるための改善法

打球が上がらない原因を理解したら、次はいよいよ改善に取り組みましょう。ここでは、特に初心者の方が取り組みやすい改善法に絞って解説します。単にボールを上げようとするのではなく、スイングの根本から見直すことが、力強く美しい放物線を描く打球への近道です。
正しいスイング軌道を身につける改善法
打球を上げるためには、バットが正しい軌道を通ることが不可欠です。ボールに対して効率的に力を伝え、適切な回転を与えるスイング軌道を身につけるための2つの重要なポイントを解説します。
インサイドアウトの軌道を意識する
インサイドアウトとは、バットが体の内側から出てきて、インパクト後に外側へ抜けていくスイング軌道のことです。 この軌道は、バットが最短距離でボールに向かうため、振り遅れにくく、インパクトの瞬間に最も力が伝わりやすいという大きなメリットがあります。
アウトサイドイン(外側からバットが出る軌道)のスイングでは、ボールを切るような形になり、弱いゴロやファールになりがちです。 練習では、右打者であればセンターからライト方向へ、左打者であればセンターからレフト方向へ打つ意識を持つと、自然とインサイドアウトの感覚が掴みやすくなります。
レベルブローから自然なアッパーブローへ
「打球を上げたい」という気持ちが強すぎると、ボールを下からすくい上げるような「すくい打ち」になりがちです。しかし、これはポップフライや弱いフライの原因となる間違った動きです。大切なのは、まず地面と平行にバットを振る「レベルブロー」を基本とすることです。
レベルブローの意識でスイングすると、体の回転と体重移動によって、バットのヘッドは自然と最下点を過ぎてから少し上昇しながらボールを捉えます。これが「自然なアッパーブロー」です。 この軌道でボールの中心より少し下を捉えることで、強烈なバックスピンがかかり、打球がホップするように伸びていきます。 無理に上げようとせず、ボールの軌道にバットを水平に入れる意識を持ちましょう。
体の開きを抑えるための改善法
スイングの際、ピッチャー側の肩や腰が早く開いてしまうと、力がボールに伝わる前に逃げてしまいます。 これが「体の開き」と呼ばれる状態で、打球が上がらない大きな原因の1つです。 体の開きを抑えるには、インパクトの瞬間まで、胸がピッチャーに対して正面を向かないように我慢する意識が重要です。
改善法は、ステップした前足で「壁」を作るイメージを持つことが効果的です。 軸足に体重をしっかり乗せた後、前足を踏み出した際に、その足の内側で回転を受け止め、上半身が開くのをギリギリまで耐えます。この「割れ」と呼ばれるタメが、爆発的なパワーを生み出します。
下半身主導のスイングをマスターする
腕の力だけで振る「手打ち」では、力強い打球は望めません。プロ野球選手のような飛距離を生み出すのは、下半身から生み出されたエネルギーを効率よくバットに伝える「下半身主導」のスイングです。 「地面反力」とも呼ばれる、地面を蹴る力を腰の回転に変え、そのエネルギーを上半身、腕、そしてバットへと波のように連動させていくことが理想です。
この感覚を掴むためには、まずバックスイングで軸足の股関節にしっかりと体重を乗せ、そこから前足へ体重移動を開始する動きをゆっくりと確認しましょう。下半身が先に動き出し、上半身が後からついてくる「捻転差」を意識することが、下半身主導のスイングをマスターする第一歩です。
| 項目 | 手打ちスイング | 下半身主導スイング |
|---|---|---|
| 力の起点 | 腕・上半身 | 足・下半身 |
| 力の伝達 | 上半身の力のみで非効率 | 下半身→体幹→上半身→腕へと連動し効率的 |
| スイング軌道 | アウトサイドインになりやすい | インサイドアウトになりやすい |
| 安定性 | タイミングがズレやすく不安定 | 体の軸が安定し、再現性が高い |
| 打球の質 | 弱いゴロやボテボテの当たりが多い | 力強く、飛距離の出る打球が多い |
スイング軌道の修正に効果的な練習ドリル3選

打球が上がらない原因の多くは、スイング軌道や体の使い方にあります。ここでは、初心者でも取り組みやすく、スイング軌道の修正に効果的な3つの練習ドリルを紹介します。これらのドリルを継続することで、理想的なスイングを体に覚えさせ、力強い打球を上げることが可能になります。
| 練習ドリル名 | 主な目的 | 特に改善が期待できる原因 |
|---|---|---|
| タオルスイング | 体と腕の一体感を養い、体の開きを抑制する | 原因1: 体の開きが早すぎる 原因3: アウトサイドイン軌道になっている |
| 連続素振り | スイングプレーンを安定させ、力みのないスムーズな軌道を習得する | 原因3: 間違ったスイング軌道で振っている 原因4: 正しい体重移動ができていない |
| クローズスタンスでのティーバッティング | インサイドアウト軌道を強制的に作り出し、体の開きを物理的に抑える | 原因1: 体の開きが早すぎる 原因3: アウトサイドイン軌道になっている |
自宅でできるタオルスイング
タオルスイングは、バットを使わずに自宅で手軽にできる練習です。腕と体の一体感を高め、手打ちを防ぐことで、体の開きを抑え、正しいスイング軌道の基礎を作ることを目的とします。
練習の4手順
- フェイスタオル程度の長さのタオルを用意します。
- バットを振る時と同じようにアドレスを取り、両脇にタオルを挟みます。
- タオルを落とさないように意識しながら、ゆっくりとテイクバックからフォロースルーまでスイングします。
- 慣れてきたら、徐々にスイングスピードを上げていきます。
意識する3つのポイント
- タオルが落ちてしまう場合、腕だけで振る「手打ち」になっているか、体の開きが早い証拠
- 下半身から始動し、体幹の回転でスイングすることを意識
- 常に体と腕が同調して動く感覚を養うことが重要
連続素振りでスイングプレーンを安定させる
連続素振りは、スイングの再現性を高め、理想的な軌道を体に染み込ませるための効果的なドリルです。力みをなくし、遠心力を利用した滑らかなスイングの習得を目指します。
練習の4手順
- 少し広めの安全な場所を確保し、バットを持ってアドレス
- 一度スイングし、フォロースルーでバットが体に巻き付いた後、その反動を利用してスムーズにテイクバックへ移行
- 止まることなく、リズミカルにこの動作を繰り返す(10回1セットなど)
- 最初はゆっくりとした動作で軌道を確認し、慣れてきたら実際のスピードに近づけていく
意識する3つのポイント
- 力任せに振るのではなく、バットのヘッドの重みを感じながら、遠心力を使って振ることを意識
- 毎回同じ軌道(スイングプレーン)を通るように集中
- リラックスして行うことで、力みが抜け、ヘッドスピードの向上にもつながる
クローズスタンスでのティーバッティング
クローズスタンスでのティーバッティングは、体の開きを物理的に抑制し、インサイドからバットを出す感覚を強制的に養うための練習です。アウトサイドイン軌道の矯正に特に効果を発揮します。
練習の3手順
- ティーを用意し、ボールをセットする
- 通常のスタンスから、投手側の足(右打者なら左足)を少し捕手側に引いて、体が投手方向に向きにくい「クローズスタンス」で構える
- このスタンスを維持したまま、センターから逆方向(右打者ならライト方向)へ打球を飛ばす意識でスイングする
意識する3つのポイント
- クローズスタンスでは、体の開きが早いと非常に窮屈になり、うまくスイングできない
- ボールを十分に引きつけ、体の回転で打つことを意識。無理に引っ張ろうとすると、アウトサイドインの軌道になりやすいため注意が必要
- この練習を繰り返すことで、自然とインサイドアウトのスイング軌道が身についていく
まとめ:正しいスイングで力強く伸びる打球を目指そう

ゴロや低いライナーばかりになってしまうのには、技術的な理由が明確に存在します。打球が上がらない原因は、ボールを無理に上げようとする「すくい打ち」や、体の開きが早すぎることによる「アウトサイドイン」の軌道です。
打球は意識的に「上げる」のではなく、正しいスイング軌道の結果として「自然に上がる」という点が最も重要な結論です。そのためには、バットを最短距離で出すインサイドアウトの軌道と、下半身主導で力を伝えるスイングを身につける必要があります。
紹介したタオルスイングやクローズスタンスでのティーバッティングなどの練習ドリルは、正しい体の使い方とスイング軌道を体に染み込ませるために非常に効果的です。日々の練習に継続して取り入れることで、無意識レベルで理想的なスイングができるようになります。
一つひとつの原因と向き合い、正しい練習を積み重ねることで、あなたの打球は必ず変わります。焦らず基本に立ち返り、力強く伸びる打球を目指しましょう。