たった3つのコツで差がつく!失敗しない野球グローブの選び方を元店員が解説

野球グローブ選びで失敗したくないけれど、種類が多すぎて何から見れば良いか分からない…。そんなお悩みはありませんか?

この記事では、元野球用品店のスタッフが「ポジション」「手の大きさ」「硬式か軟式か」という3つのコツを基に、失敗しない選び方を徹底解説します。この記事を読めば、初心者から経験者まで、自分にぴったりのグローブを自信を持って選べるようになります。

目次

まずはここから 野球グローブ選びで失敗しないための3つのコツ

数多くの種類がある野球グローブ。初心者の方や、お子さんのためにグローブを選ぼうとしている保護者の方にとって、「どれを選べば良いのかわからない」というのは共通の悩みではないでしょうか。

しかし、ご安心ください。これからご紹介するたった3つのコツを押さえるだけで、誰でも自分にぴったりのグローブを見つけだせます。元野球用品専門店の店員だった筆者が、後悔しないグローブ選びを分かりやすく解説します。

【コツ1】プレーするポジションに合ったグローブを選ぶ

野球グローブは、プレーするポジションに合わせて形や大きさが最適化されています。

例えば、素早い送球が求められる内野手用は浅めのポケットで操作性が高く、フライを確実に捕球する必要がある外野手用は大きくて深いポケットが特徴です。グローブ選びの第一歩は、自分のプレーやポジションを明確にすることから始まります。

もしポジションが決まっていない初心者の方やお子さんの場合は、さまざまなポジションに対応できる「オールラウンド用」を選ぶのがおすすめです。

  • 内野手用:素早い捕球〜送球がしやすい浅めポケット・小ぶり
  • 外野手用:フライを確実に掴む大きめ・深めポケット
  • 投手用:握りを隠す閉じたウェブ、投球フォームの安定に寄与
  • 捕手・一塁手:専用ミット

【コツ2】自分の手の大きさに合ったサイズを選ぶ

グローブ選びで意外と見落としがちなのが、自分の手の大きさに合ったサイズを選ぶことです。

大きすぎるグローブは、中で手が動いてしまい操作性が著しく低下します。これは「ファンブル」と呼ばれるエラーの原因になります。逆に、小さすぎるとボールがポケットに収まりきらなかったり、手を痛めてしまったりする可能性があります。

そのため、グローブは必ず実際に手にはめて、フィット感を確認する必要があります。試着する際は、指がグローブの指先までしっかり届いているか、それでいて窮屈すぎないか、手を入れたときにグラグラしないか、といった点を確認してください。

グローブを試着するときは、以下のチェックリストの項目を確認してみてください。

  • 指先:自分の指が指先まで届く/窮屈すぎない
  • 安定感:手を入れてグラつかない(リストの固定感)
  • 開閉:キャッチ〜即リリースがスムーズにできる
  • 重さ:数回の捕球動作で前腕が張らない重さ

【コツ3】野球の種類(硬式・軟式)に合ったグローブを選ぶ

使用球の違いに合わせて、グローブの芯材・革厚・剛性が設計されています。軟式用で硬式球を捕るのは危険なのでNG。必ずプレー環境に適合するモデルを選びましょう。

項目硬式用グローブ軟式用グローブ
想定ボール硬式球(重く・硬い)軟式球(軽く・弾む)
設計の傾向芯が硬く剛性高い
革厚めで耐久重視
軽量・柔らかめで扱いやすい
使い始め硬め
型付け・慣らしが必要
馴染みが早い
初心者向き
安全性硬式球の衝撃に対応硬式球の捕球は不可・危険
対象高校〜大学
社会人の硬式
上級者
少年〜一般の軟式
草野球
入門者

【ポジション別】野球グローブの選び方と特徴を解説

ポジションが変われば、最適な大きさ・深さ・ウェブ形状が変わります。まずは自分の守備位置の役割に合う設計を選ぶのが、失敗しない近道です。

投手(ピッチャー)用グローブの選び方

ピッチャーのグローブは、フィールディング性能はもちろんですが、投球時にボールの握りや球種をバッターから隠すという非常に重要な役割を担っています。そのため、ウェブ(編み部分)部分がボールを完全に覆い隠すデザインになっているのが最大の特徴です。

サイズはフィールディングのしやすさも考慮し、内野手用と外野手用の中間くらいの大きさを選ぶのがおすすめです。投球フォームのバランスを崩さないよう、重すぎず操作性の良いものを選びましょう。高校野球では単色しか使えないなど、所属する連盟のルールも事前に確認が必要です。

項目特徴
主な役割投球時の握り・球種の秘匿
ピッチャー返しへの対応
サイズ感やや大きめ
ポケット標準的〜やや深め
主なウェブバスケットウェブ・プレートウェブなどボールが見えないタイプ

捕手(キャッチャー)用ミットの選び方

最も頑丈で・厚く・ポケットが深いのが特徴で、捕球時の衝撃を和らげ、ボールをこぼさないように設計されています。キャッチャー用ミットを選ぶときは、自分の手の大きさにフィットし、ミットを開閉しやすい操作性を重視しましょう。ポケットの深さも、しっかり捕球できる深めのタイプが主流です。

項目特徴
主な役割投球の捕球
ミット音によるコミュニケーション
サイズ感大きく分厚い
ポケット非常に深い
形状捕球面広め・芯硬め、指かけ強めで安定

一塁手(ファースト)用ミットの選び方

内野からの送球を巻き取るように受け止めるため、縦長・広く深いポケットが特長。ショートバウンド処理のしやすさと、先端まで使える捕球面を重視します。

項目特徴
主な役割内野からの送球捕球
ゴロ処理
サイズ感縦長で大きい
ポケット広く深い
形状捕球に特化したミット形状

内野手用グローブの選び方

内野は「捕る→握り替える→投げる」の速さが勝負。二遊間は小ぶり・軽量・浅めポケットで機敏さを、三塁はひと回り大きめ・やや深めで強打に負けない安定性を狙うのが基本です。まずは自分の守備動作に合うサイズとポケットの深さを決めましょう。

ポジション特徴サイズ感ポケットの深さ
二塁手・遊撃手捕球から送球への素早さを重視
操作性が高い
小さめ浅め
三塁手強い打球への対応を重視
捕球の確実性が高い
標準〜やや大きめ深め

二塁手(セカンド)・遊撃手(ショート)向け

セカンドとショートは、俊敏な動きと連携プレー(ダブルプレーなど)が求められるポジションです。そのため、グローブ選びでは捕球から送球へのスムーズな移行を優先します。ボールを掴んだ感覚が分かりやすく、すぐに握り替えができるよう、ポケットが浅く、全体的に小さく軽量なモデルが適しています。

逆シングルやグラブトスといった多彩なプレーに対応するためにも、自分の手のように扱える操作性の高いグローブを選びましょう。

三塁手(サード)向け

サードはバッターから最も近い内野のポジションで、「ホットコーナー」と呼ばれるほど速くて強い打球が飛んできます。そのため、強烈な打球に負けずに確実に捕球できることが最重要です。セカンド・ショート用に比べて少し大きめで、ポケットも深く、ボールをしっかり掴める設計のグローブがおすすめです。

外野手用グローブの選び方

外野は走りながらの捕球が多く、フライやライナー、長打処理に対応できるよう縦長・大きめ・深いポケットが基本です。指長設計で先端までボールを収めやすいモデルが定番です。

項目特徴
主な役割フライやライナー
長打の捕球
サイズ感大きい(縦長)
ポケット非常に深い
形状指が長く、先端までポケットとして機能する

【年代・レベル別】野球グローブの選び方のポイント

年齢やボールの規格が変わると、求められる重さ・硬さ・耐久性は大きく変わります。まずは「いまのレベルで使いやすいか」「次のステップに伸びしろがあるか」を基準に選びましょう。

小学生向け少年用グローブの選び方

少年野球を始めるお子さんにとって、最初のグローブは野球の楽しさを左右する非常に重要なアイテムです。小学生向けのグローブ選びで最も大切なのは、軽くて操作しやすく、すぐに使える柔らかさです。まだ握力が弱い子供にとって、硬くて重いグローブは捕球の妨げになり、野球そのものが嫌いになる原因にもなりかねません。

素材は、手入れが簡単で柔らかい人工皮革や、特殊な加工で柔らかく仕上げられた天然皮革がおすすめです。購入後すぐに使える「スチーム加工済み」や「即戦力」といったモデルを選ぶと良いでしょう。ポジションが固定されていない場合が多いため、最初は内野・外野どこでも使える「オールラウンド用」が最適です。サイズ選びに迷ったら、以下の表を目安にしつつ、必ず本人が試着して、無理なく開閉できるかを確認してください。

学年(目安)身長(目安)推奨サイズ(メーカー表記例)
小学校低学年(1〜3年生)〜130cmSS・S
小学校高学年(4〜6年生)130cm〜150cmM・L

価格帯は5,000円〜15,000円程度が一般的です。高価なものより、お子さんの手の大きさと力に合った、使いやすいグローブを選ぶことを最優先しましょう。

中学生向けグローブの選び方

この年代のグローブ選びでは、M号球の重さや硬さに負けない、ある程度の耐久性と捕球性能が求められます。少年用グローブでは打球の勢いに負けてしまうため、大人用のグローブへ移行するタイミングです。素材は、使い込むほどに手に馴染み、型崩れしにくい天然皮革(ステアハイドなど)が主流です。

また、小学校時代と違ってポジションがある程度固定されてくるため、本格的にポジション別のグローブを選びましょう。ピッチャー用・キャッチャーミット・内野手用など、それぞれのプレーに適した機能を持つグローブを選ぶことで、パフォーマンスの向上につながります。

価格帯は15,000円〜25,000円程度が中心となります。サイズは大人用の中から、自分の手の大きさにフィットするものを選びましょう。

高校生向けグローブの選び方(高校野球)

高校野球で硬式球を使う場合、グローブ選びで最も注意すべきは、日本高等学校野球連盟(高野連)の用具規定を必ず守ることです。特にカラー規定は厳しく、使用が認められているのは基本的にブラック・ブラウン系・オレンジ系などの単色のみです。刺繍やラベルの規定もあるため、購入前に必ず確認しましょう。

性能面では、硬く速い打球を確実に捕球するため、高品質な天然皮革(キップレザー、ステアハイド)で、芯材が厚く頑丈な作りの硬式用グローブが必須となります。

耐久性が非常に重要視されるため、価格帯も30,000円〜70,000円程度と高価になりますが、3年間使い続けるための投資と考えましょう。

購入前に知っておきたい野球グローブの基礎知識

ポジション・サイズ・野球の種類で候補を絞れたら、「サイズ表記・素材・ウェブ」の3要素を押さえて本当に自分に合うグローブを選び切りましょう。ここを理解しておくと、店頭でもネット通販でも迷いが一気に減り、グローブ選びが失敗しにくくなります。

グローブのサイズの測り方とメーカー別一覧

グローブのサイズは、フィット感や操作性に直結します。しかし、メーカーごとにサイズ表記が異なるため、グローブを選ぶときに戸惑うポイントでもあります。まずは自分の手の大きさを正確に測り、各メーカーの基準を理解しましょう。

主要メーカーのサイズ表記と目安一覧

下記は、一般的な内野手用グローブの目安です。ポジションやモデル、年代によってサイズ基準は異なるので、購入時には必ず各商品のサイズ詳細を確認してください。

メーカーサイズ表記(大人用硬式・軟式 内野手向け参考)対応する手長の目安
ミズノ(Mizuno)サイズ8・9・10約23cm・24cm・25cm
ゼット(ZETT)サイズ2・3 ・4約22cm・23cm・24cm
SSK(エスエスケイ)サイズ5L・5S・6L約24cm・25cm・26cm
アシックス(asics)サイズ6・7・8約24cm・25cm・26cm

素材による違い 天然皮革と人工皮革

グローブの素材は、使い心地・耐久性・価格、そして手入れのしやすさを大きく左右します。主に天然皮革と人工皮革の2種類があり、それぞれの特徴を理解することが重要です。

天然皮革(本革)

牛の革をなめして作られた素材で、本格的なグローブのほとんどが天然皮革製です。主に「ステアハイド(生後2年以上の雄牛の革)」や、より高品質な「キップレザー(生後6ヶ月~2年未満の子牛の革)」が使われます。

使い込むほどに革が柔らかくなり、自分の手の形に完璧にフィットしていくのが最大の魅力です。耐久性が高く、適切な手入れをすれば長年にわたって愛用できます。一方で、価格は高価で、水分に弱く定期的なオイルメンテナンスが必要という側面もあります。

人工皮革(合成皮革)

ナイロンやポリエステルの布地にポリウレタン樹脂などをコーティングして作られた素材です。天然皮革に比べて安価で、軽量なのが特徴です。

また、水に強く、汚れも拭き取りやすいため、特別なメンテナンスはほとんど必要ありません。そのため、野球を始めたばかりの子供や、手軽に楽しみたい初心者の方におすすめです。

グローブ購入後にすべきこと 長持ちさせる手入れ方法

お気に入りのグローブを見つけたら、次は性能を引き出し、長く使うためのケアを覚えましょう。新品は革が硬く、型付け(ブレークイン)と日常メンテを行ってこそ、あなたの手に馴染む相棒になります。

日頃のメンテナンス

練習や試合で使ったグローブは、汗や土、砂などで汚れています。これらを放置すると、革が乾燥して硬くなったり、カビが発生したりする原因になります。日頃から簡単な手入れを習慣づけることで、グローブを常に良い状態で保ち、寿命を格段に延ばすことができます。

メンテナンスの基本的な流れは、「汚れを落とす・保湿する・形を整えて保管する」の3ステップです。

  1. 汚れ落とし:練習後、まずは乾いたブラシで表面の土や砂を丁寧に払い落とします。その後、固く絞ったタオルや専用のクリーナーで汚れを拭き取ります。
  2. 保湿(オイル塗布):革の乾燥を防ぎ、柔軟性を保つためにオイルやクリームを塗ります。塗りすぎはグローブを重くし、操作性を損なう原因になるため、少量ずつ薄く伸ばすのがコツです。
  3. 保管:手入れが終わったら、ボールをポケットに挟み、保形ベルトで固定して型崩れを防ぎます。保管場所は、直射日光が当たらない風通しの良い日陰が最適です。バッグの中に入れっぱなしにするのは湿気がこもりやすいため避けましょう。

正しいオイルの塗り方

オイルでの保湿は、グローブを長く使うために欠かせないケアです。オイルには様々な種類があり、それぞれ役割が異なります。用途に合わせて使い分けましょう。オイルの種類と使い分けは以下を参考にしてください。

オイルの種類主な特徴と役割使用頻度の目安
保革オイル油分補給・柔軟性維持・ひび割れ防止の基本ケア捕球面:月1回
背面:2〜3ヶ月に1回
汚れ落とし(クリーナー)古い油・泥を落として浸透性を回復汚れが気になったとき
グリップオイル捕球面のグリップ感UP(粘性高・付け過ぎ注意)試合前など必要に応じて

オイルを塗る際は、指やスポンジに少量を取り、捕球面やウェブ、革紐を中心に薄く均一に塗り込んでいきます。特にボールが当たる捕球面や、乾燥して切れやすい革紐は念入りに保湿することが大切です。

ただし、オイルの塗りすぎはグローブにとって逆効果です。「革が少しカサついてきたな」と感じたタイミングで、適量を塗ることを心がけましょう。

野球グローブの選び方に関するよくある質問

ここからは、野球のグローブを選ぶときによくある質問を紹介します。

硬式用と軟式用は兼用できる?

結論から言うと、硬式用グローブと軟式用グローブの兼用は、原則として推奨されません。特に、軟式用グローブを硬式野球で使用することは、怪我につながる可能性があり非常に危険です。

軟式用グローブを硬式野球で使う場合

絶対に避けるべきです。軟式球よりもはるかに硬く重い硬式球の衝撃に、軟式用グローブは耐えられません。捕球時にグローブが破損するだけでなく、ボールの衝撃が直接手に伝わり、指や手首を骨折するなどの大怪我につながる危険性があります。安全にプレーするため、硬式野球では必ず硬式用グローブを使用してください。

硬式用グローブを軟式野球で使う場合

硬式用は革が厚く、芯材も硬いため、軟式球を捕球する際にボールを弾きやすくなります。また、グローブ自体が重く硬いため、操作性が悪くなり、スムーズなプレーの妨げになることがあります。価格も高価なため、軟式野球で使うにはオーバースペックと言えるでしょう。

両者の違いを以下の表にまとめました。

項目硬式用グローブ軟式用グローブ
革の質・厚さ厚く、耐久性の高い丈夫な革比較的薄く、しなやかで柔らかい革
芯材の強度硬く、強い衝撃に耐えられる設計柔らかく、衝撃吸収性は低い
重さ重い軽い
価格帯高価(3万円~)比較的安価(1万円~)
硬式球での使用安全危険・使用不可

まとめ

プレーする「ポジション」・自分の「手の大きさ」・そして「硬式・軟式」という野球の種類、この3点を押さえることが最適なグローブ選びの鍵となります。

本記事ではさらに、ポジション別や年代別の詳細な選び方、購入後の手入れ方法まで解説しています。この記事を参考に、あなたにぴったりの相棒を見つけ、野球をさらに楽しんでください。

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